じつは粗忽者

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1Passwordの後継を探す

 iPhone4を購入してすぐにパスワードを扱うためのアプリ1Passwordを使い始めてから11年がすぎようとしています。これまでに蓄積してきたログインIDは180件超*1あります。現在使用している1Passwordのバージョンは7で最新の8へアップデートを促すメッセージが表示されるようになりました。

 macOSをそろそろVenturaにアップデートすることを考えており、1Passwordの対応を確認したところ、1PasswordのSupport Communityに"we cannot guarantee that 1Password 7 will be compatible with macOS Ventura."-(1Password 7 が macOS Ventura と互換性があることを保証することはできません。(Googleで翻訳))との投稿がありました。旧版に対してありがちな対応ですが、1つ前の版でもこれはどういうことでしょう。

1password.community

 いままではそれっとばかりにアップデートをしましたが今回は後述する理由で躊躇していて、他のアプリ・サービスに移行できるのかどうかを検討することにしました。

 パスワードマネージャについての記事は巷にあふれていて今さら感がありますが、何が気に入って使い続けていたのか整理する意味もあってあえて記事にしてみることにしました。

 

開発元の姿勢が変わったか

 まず1Password8についてざっと検索をするとどうも評判が良くありません。理由は、

  • 保管庫(ヴォールト)をiCloud(ローカル)に置くことができない
  • 検索機能が使いづらくなった

という機能での指摘に加えて、

ということも評判の良くない原因のようです。

 Safari機能拡張以外は他のアプリと連携して使用することはないので構プラットフォームにこだわりはありません。操作に関する機能の不足や不備は今後のアップデートで改訂されていくかもしれません。しかし、保管庫(ヴォールト)の置き場所は恐らく今までどおりにはならないでしょう。なぜなのかはmacOS向けの最新版のリリースがWindows版から半年*2も遅いことから感じられます。

 恐らく数が期待できるWindows(Androidも含まれる)を優先するという開発元の姿勢の変化を表しているとみています。

 以前から1PasswordをmacOSiOSで使ってきた側からすると裏切りにあったような気がします。この点が今までのように無条件にアップデートしない理由です。それどころか、開発元の将来に胸騒ぎがします。大げさですがこのアプリの行く末に暗い影が忍び寄ってきた気がします。そういえば、かつてDTPアプリで同じようなことがありました。

gigazine.net

もっとも危惧すること

 それは、最重要データの保持をAgileBits社に委ねる以外の選択肢がないことです。

 これまで11年間1Passwordを使ってきましたが、その間に1Passwordで保持しているパスワードが盗まれたという事故・事件は聞いたことがありませんでした。それは絶対数の少ないmacOS向けであることが大きな理由であり、加えて、アプリはデータの操作はするけれども保持をすることはなかったことも理由の一つでしょう。AgileBits社はアプリの開発会社であって、運用に長けた会社ではないはず。しかし、最近のバージョンで自らデータを保持するようになったことでデータの保持により資金を必要とするようになり、その結果販売量を期待できるWindowsを優先することになったのでしょう。パンドラの箱のふたを開けた、無法の海に漕ぎだしたと言えば大げさでしょうか。

 身近な良くない例として、2022年夏に米LastPass社が顧客データを盗まれるという最悪のセキュリティ事故を起こしました。顧客のパスワード保管庫のマスターパスワードが破られない限りデータを復号することはできないとのことですが、被害に遭った利用者は保管していたパスワードを変更するでしょう。仮に私が被害に遭っていたとして180件超のログインIDのパスワードを変更するためには結構な時間がかかりますし、クレジットカードのセキュアコードも変更しようとすると、カードの再発行に費用が発生します。やはりこの種類のアプリの選定はより慎重にならざるをえません。

softantenna.com

現状を顧みる

 後継を検討する探に当たり、どのような使い方をしているのか、改めて1Passwordのカテゴリーごとに見てみることにします。

1. ログイン
 大部分がこのデータです。一部のデータを1Password.comに保存しています。何回か書きましたが、管理者ユーザと一般ユーザを使い分けており、Adobe社のサイトやSOPHOS社のサイトなどを二つのユーザIDからアクセスするためです。

 

lefennec1765.hatenablog.com

 

2. クレジットカード
 件数こそ数件ですが、このデータが最重要データです。カード番号はもとより紛失の際の連絡先、引落の口座情報をメモで記載しています。カードを紛失したときはここに記載しているデータをもとに停止、再発行の手続をしますし、逆に情報の漏洩が発覚した場合も紛失と同様の処置をすることになります。

3. 銀行口座
 このデータも件数こそ数件ですが最重要データです。支店コード、口座番号のほか印鑑の情報(もちろん本人にしか分からないキーワードを使います)、紛失の際の連絡先、引落の講座情報をメモで記載しています。

4.パスワード

 ディスクを暗号化する際に設定したパスワード、ウェブサイトにアクセスする際に利用者登録を求められて生成したパスワード。ほとんどが放置しているものです。

5.その他

 メンバーシップ、メールアカウント、ライセンス、社会保障番号、運転免許証はカテゴリとして用意されているので使っています。

 今さらですが、カテゴリーの多さに驚きます。さらに、それぞれのカテゴリーごとに必要と思われる項目があらかじめ準備されていることも1Passwordの特徴でしょう。反面、情報の最新化、不要データの削除等々維持管理のための時間もそこそこかかります。PC1台で買い物、支払のほぼ全てができる便利な時代ですが引き換えに面倒くささも相当なもの。けれども戻れはしないでしょう。この方も同様のようです。

www.sskworld.net

 

使い続けてきたわけ

 繰り返しですが、類似のアプリが数多くあるなかで使い続けていた理由を考えてみます。

1.情報に応じたカテゴリがあり、ほぼそのまま使えるテンプレートが用意されている

2.ブラウザの拡張機能があり、ユーザIDとパスワードをいちいち入力せずにすむ

3.パスワードの履歴を保持しており、過去に使用したパスワードを遡ることができる

後継の候補

 情報収集はいつも参考にさせていただいているこのサイトから

applech2.com

そして、ブログタイトルと内容がマッチしていないこのサイト。そのままズバリの記事が投稿されていました。この記事を追確認することになりそうです。

minatokobe.com

App.netで1Passwordを検索し、代替を表示します。

ja.altapps.net

「いいね」が100以上あるアプリはLastPass, KEEPASS, KeePassX, Bitwarden, KeePassDroid,  KeePassXC, Authyの7本があります。その中でKeePassX, KeePassDroid, KeePassXCはKEEPASSの派生とすると実際はLastPass、KeePass○○、Bitwarden、Authyの4種類です。LastPassはセキュリティ事故を起こしているので除外します。比較に際して持っていて欲しい機能は、
・データをローカルに保持できる

macOSiOS(iPadOS)で使用できる

Safari用の機能拡張がある

です。

4つのアプリの機能を簡単な表で比較してみます。

いまいち。

Bitwardenの機能は1Passwordと同等のようですが、ローカルにデータを保持することができません。これでは1Passwordから移行する意味がありません。

KeePassにはSafari機能拡張がなしとしましたが、出自がオープンソースなのでソフトウェアの組み合わせで利用可能となると思われます。ただ、いろいろなソフトウェアを自ら検証しながら使うことは(あまり)したくないので移行の候補からは除外することにします。

 さらにネットでパスワード管理アプリに関する記事を検索してみたところ、この記事を探し当てました。

blog.zelkova.cc

ほぼ、希望する機能を網羅しているようですので、もう少し詳細に機能を調べるとともに無料の範囲で試行してみることにします。

1Password長い間ありがとう

 iPhoneを使い始めるとほぼ同時に1Passwordを10年以上使い続けてきました。製品として提供されるソフトウェアが機能を変えていくことは仕方ないこと。ざんねんながら1Passwordは希望とは別の方向に変わりつつあるようです。AgileBits Inc.が今後も発展していくことを願ってやみません。長い間ありがとうございした。

 

*1:アーカイブにある件数を含めるともっと

*2:Windows版は2021年11月17日、macOS版は2022年5月3日