じつは粗忽者

富士通のワープロOASYSから親指シフトが大好きです

穂高を眺めに霞沢岳へ

 7月上旬、唐突に下旬の予定がぽっかり空いてしまいました。山に行こうと決めてこの夏の予定を見てみると、穂高を見に行く予定がありません。やはり年に1回は穂高の山々を間近で観てみたいもの。そういえば前回クラッシックルート経由で上高地に行ったときに霞沢岳を省いたことを思い出して、穂高の展望台として名高いこの山に行ってみることにしました。昨年NHKのにっぽん百名山でも放送されています。

今回のコース

 霞沢岳へは、上高地バスターミナルから明神で人通りの多い大通りを外れて徳本峠経由で尾根伝いに向かいます。以前、島々からクラッシックルート経由で徳本峠を越しましたが、今は崩落箇所があるためクラッシックルートは通行止めです。

 ところで、上高地から霞沢岳へは六百山を大きく迂回することになりますが、直登ルートはないのかとGoogle先生に尋ねてみたところ、こんな記事がありました。

www.yamareco.com

ルートファインディングをしながら藪漕ぎをしないとならないコースのようで、中級者には明らかに難度が高いルートだということはバスターミナル付近からこの山を見上げてみると良く分かります。ですので、明神経由で徳本峠小屋に宿泊し、翌朝に霞沢岳を目指すおなじみのルートにしました。

一日目

 出発はいつもの場所。持っていくカメラもいつものGR IIIxとα7RIII。中央高速韮崎付近で工事をしていますが、平日なので渋滞することはないだろうと楽観視して出発。途中双葉サービスエリアで朝食休憩してその後は一気に沢渡駐車場を目指します。

 松本ICを下りてからの国道158号線は、波田を抜けるまでそこそこの渋滞です。島々方面は塩尻安曇野市へ抜ける車、反対車線は松本市内へ出勤する車でしょう。STOP & GOを繰り返しやがて渋滞がなくなる頃に新島々駅のバスターミナルを通過します。かつてはもう少し奥の島々まで松本電鉄(アルピコ交通)上高地線が運行していましたが、地滑りで線路が埋まってしまいそのまま廃線になってしまいました。

 島々から山あいに入り、奈川渡ダム堰堤に続く入山トンネル手前で渡る大白川に新しい道路とトンネルが建設中です。この区間は狭いトンネルと急カーブが続き大型化した今の観光バスにはつらい箇所*1。さらに降雪の際には危険な箇所ですが新トンネルが開通すれば改善されるはず。

www.ktr.mlit.go.jp

 国道158号福井県福井市が起点で終点の松本まで約250kmもある道路です。 その昔、戦国時代に越中を治めていた佐々成政(さっさ なりまさ)が天正13年(1585年)に秀吉に包囲された際に家康に援軍を乞うために通ったのではないかといわれているルートを国道にしたのかもしれません。*2

 このとき、佐々成政の与党だった三木自綱とその子の三木秀綱も攻められています。敗れた三木秀綱が奥方と共に飛騨山中を経由して島々谷まで逃げてきたところで奥方が殺害されたそうですが、その碑がクラッシックルート沿道に残っています。ここは遠い古の時代から人の往来が盛んだったようです。

 沢渡駐車場からはアルピコ交通シャトルバスで上高地に入ります。バス乗り場は駐車場に隣接しており、多客期には大勢の入山者に対応するためでしょう、相当立派なのも。窓口にいた職員の方はなんとMacを使っていました。

 急勾配の釜トンネルと続く上高地トンネルを抜けると大正池を見ることができます。

この姿を見るだけでも来た甲斐があるというもの。前回訪れたときは右岸が立入禁止でしたが、今もそうなのかな。大正池を通過すると上高地バスターミナルはまもなく。

休日はきっと多くの人がいるのでしょう。

 適当に詰め込んだザックの中身を整理しバランスを整えて梓川沿いの歩道を歩き始めます。今回プラティパスのリザーバーを凍らせて持ってきたのですが大量に汗をかいています。カビの原因になるはずなのでこのアイデアはお蔵入り。

明神

 およそ1時間で明神に到着。ここは、安曇野市にある穂高神社の奥宮で、さらに北アルプスの総鎮守 嶺宮が3,190mの奥穂山頂にあります。

 毎年10月8日に明神池を一周する御船神事がおこなれますが、乗船されている御子さんたちは怖いでしょうね。神事が行われる10月の水温はたぶん10℃前後で万が一落ちたら大変です。

 地元の中学生たちが大勢いましたが、学年登山でしょうか。今でも松本近郊の中学生は1年の夏に登山を行うようです。上高地に当たった子たちはラッキーかも。

www.hotakajinja.com

徳本峠へ

 再び歩き出すとすぐに分岐地点です。

 分岐を徳本峠方面に入ると人影が疎らというかまったくなくなります。小梨平キャンプ場に熊の目撃看板があったり、以前に来たときここで猿に遭遇したりと周囲に注意を払いながら進みます。この日の最高気温は30℃超え。 アンダーはミレの変態あみあみなので不快ではありませんが、トレッキングパンツには汗染みができています。

 途中、カメラを構える気力なし!

徳本峠小屋到着

 暑さにあえぎながらようやく徳本峠小屋に到着。以前よりもさらにひなびた感じです。山小屋には見えないでしょう。

 徳本峠までの距離はおよそ10㎞。途中、道が登山道らしくなる4㎞あたりの気温がこの日で最も高く30℃を超えました。上高地で30℃超え!

二日目

 4:30に徳本峠小屋を出発。昨夜同宿した半数以上の方々は既に出発していました。

彼方に富士山。

 穂高の展望台、K1を目指してひたすら歩きます。

乗鞍岳。山頂への自動車道路がくっきり。

乗鞍岳御嶽山

高山植物を何枚か。

クルマユリです。

マルバタケブキです。高山植物に入るのかな??

ハクサンフウロ

 まもなくK1ピーク。前後の登山道は急登が続き、藪が張り出していて足もとが見えにくい箇所が続くので注意!ロープを頼りにしないとならない箇所も随所にあります。

K1ピーク(2,567m)に到着。

 穂高

延々とアップダウンを歩いてきた甲斐があるというもの。

でも、どこかで見た構図。まあ、贅沢は言うまい。

穂高の向こうには笠ヶ岳

そして、焼岳。

 佐々成政は焼岳の麓の中尾峠を通って駿河の家康の元に行ったのでしょうか。当時、大正池はまだありませんでしたが焼岳は噴煙を上げていたはず。どんな気持ちだったのでしょう。

もう一度穂高

しつこいくらい穂高

穂高の展望台としては、霞沢岳よりもK1ピークが眺めがよいそうです。それを確かめるためにさらにアップダウンを辿ります。

石南花(シャクナゲ)でしょうこの花はコケモモか?

K2ピークには特に標識らしきものはなく通過。そして霞沢岳に到着。

 まず三角点を記録。2,646mです。久しぶりのピークハント。

 twitter(いまはX)に霞沢岳の看板が壊れているとの投稿がありましたが、そのとおりです

途中ジャンクションピーク付近に明らか火を使った跡がありましたから、きっと火を使える猿の仕業でしょう。

 

霞沢岳の山頂から穂高を望むとK1とK2がかぶります。穂高の展望台としてはK1がいいと言われる所以でしょう。

 さあ、再び苦行の始まり。来た道を戻ります。霞沢岳山頂付近に大きく崩落している箇所がありハイマツの藪の中を迂回する踏み跡があります。道として整地されているわけではありませんし、崩落箇所が近いので引っかけてバランスを崩したりしないよう慎重に通過します。

 ジャンクションピーク付近まで下りてきました。

 徳本峠小屋で小休止し、置いておいていただいた荷物を回収し後は一目散に下ります。

 下山完了。猿にも熊にも遭遇することなくよかったよかった。

2日目の記録は途中の明神まで。昨夜うっかりガーミンの充電を忘れていました。

 河童橋は相変わらずの人気。このころには穂高を雲の中に姿を隠しています。

 この日、徳本峠小屋でトイレに行った後、翌朝までトイレに行っていないことに後で気がつきました。下山直後から相当量の水を飲み、松本で居酒屋に行ったにもかかわらずです。脱水状態の兆候も全くありませんでしたがそうとうカラカラになっていたはず。異常気象恐るべしです。

tabelog.com

またいつか

 今回日程に余裕があったので上高地からのピストンは考えませんでした。早朝に上高地を出発すれば日帰りは可能ですが、徳本峠小屋から霞沢岳のまでアップダウンと悪路を考慮すると徳本峠小屋に前泊することが無難でしょう。実際単独で霞沢岳から下りて来た方はアップダウンに気持ちが心が折れたとおっしゃってました。相当に消耗するコースです。くれぐれも無理をなさりませんよう。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

 

*1:帰路、前を走る観光バスがトンネル入口で反対車線を登ってきた観光バスとすれ違えず後進する事態に陥りました。車間距離を十分空けてバスの死角に入らないよう注意することをお勧めします。

*2:針ノ木峠経由で向かったともいわれています。そちらには立山黒部アルペンルートが通っています。Wikipediaから引用

ja.wikipedia.org